2014年9月30日火曜日

【採決まであと1ヵ月!】江戸川区、学童クラブ廃止にむけついに大手! すくすくスクール学童は、「児童福祉法適用外」の「江戸川式・学童クラブ」へと変わる!!

去る9月25日、1つの議案が、江戸川区長より江戸川区議会に上程されました。

※議案の現物は こちら (江戸川区議会サイト内PDF)からダウンロードできます。

この議案の内容を一言で表現すると、次のようになります。

「平成27年4月より、すくすくスクールの『学童クラブ登録』は、国が定める児童福祉法によらない、江戸川区独自の事業とする」。

この議案が可決され、条例として正式なものとなれば、すくすくスクールの「学童登録」は、国が定める児童福祉法という法律上の「学童保育」には該当しなくなり、「江戸川区独自の事業」となります。


■条例可決で、江戸川区の「学童クラブ」は 
 子どもの権利を保証した「児童福祉法」から外れる

議案の中には、このような記載があります。

【 保護者の就労等の理由により、家庭において適切な保護を受けることできない児童に対する事業である「学童クラブ事業」を行う 】

一見、「あれ?学童はなくならないじゃないか?」と思わせる記述です。
が、これは、法に疎い者を惑わせる、一種の行政テクニックです。

この新条例案には、今までの学童クラブ条例に明記されていた、【 児童福祉法に基づき 】 の文言が、どこにもないのです。

さらに、【 児童福祉法に基づいて行う 】 としていた、これまでの【 江戸川区学童クラブ事業条例を廃止する 】、としています。

そして江戸川区長は、議員に対しては「学童クラブ事業が児童福祉法によらないとする根拠にするために新条例を上程した」とはっきり説明しています。

またすでに2014年6月の段階で、すくすくスクール担当課である教育推進課長は、江戸川区議会文教委員会において、「児童福祉法に沿った運営は、すくすくスクールでは行わない」と、今回の議案上程に先駆けて、明言しています。


■この10年で著しく機能低下した、
 すくすくスクール内学童クラブ

江戸川区の公立の学童クラブは、11年前、「すくすくスクール学童登録」として、江戸川区の「すくすくスクール(全児童対策事業)」に一体化されました。

すくすくスクール導入当時、江戸川区は、「学童クラブはなくなりません!さらに充実します!」と、当時の保護者初め区民に約束、説明を繰り返していました。
※詳しくは下記をご覧ください。
◆2014/09/11記事
【江戸川区民の皆さんへ】江戸川区から「学童保育」がなくなるかもしれない。あなたの声を「区長への手紙」で伝えてください!
◆資料ダウンロード 2003年9月「広報えどがわ」


しかしその後、学童独自の行事は消え、結果、保護者の横のつながりが途絶え、当時を知る保護者もいなくなる間に、江戸川区は常勤指導員を減らし、昨年にはおやつを廃止、連絡帳の機能低下など、「学童クラブ」としての機能を著しく低下させることに注力してきました。

いまや「すくすくスクール学童」の内容は、他の自治体と比較しても、すでに「学童保育とは言いがたい」ものになっているのです。




■児童福祉法をはずれ、
 江戸川区の「学童保育」はどうなる?

それでも今はまだ、法律上は、江戸川区の「すくすくスクール学童登録」は、国の児童福祉法上の「放課後児童健全育成事業」に該当しています。

そして折りしも今年は、厚労省の指導で「放課後児童健全育成事業」につき守るべき「基準」が発表され、各自治体はこれに沿って条例を整備しなければならない、とされているタイミングでした。

当えどがわ学童保育フォーラムの保護者たちも、それに一縷の望みをかけて、おやつの提供など、「すくすくスクール学童」の改善の訴えをつづけてきました。

しかし、今、予想通りではありますが、江戸川区は学童クラブを児童福祉法外のものとする新条例を提出して来ました。

これが可決されれば、今後は、「江戸川流」に、どのようにすくすくスクール学童の内容を変えても、法律的にはなんの問題もない、ということになります。

江戸川区長が、学童クラブの常勤指導員雇用を「ムダな人件費」と考えていることも、国会での区長発言(平成18年)などからあきらかであり、実際、学童保育時代にかかっていた15億円を、すくすくスクールと一緒にすることで、5億円まで削減できるのだ、と同じ場で述べています。

※詳細は 以下の記事をご参照ください。
2014/09/27記事
【学童保育縮小・廃止で予算削減を目指す!】江戸川区、「すくすくスクール」導入による学童保育予算削減のシナリオ/



■学童クラブ廃止条例の上程を知っている区民は少ない

現状、このことを知っている学童保護者、あるいは江戸川区民は、多くはないでしょう。平成25年度の「学童の補食(おやつ)の廃止」の時もそうでしたが、十分な広報のないまま、そして十分な区民の意見の吸い上げのないまま、さらには江戸川区が主催している「子ども子育て応援会議」の場でひと言も取り上げられることなく、一切が進められています。

区民に広報されるのは「可決後」でしょう。


■江戸川区は、「学童は今と何も変わらない」と
 区民には説明

条例のことを知った保護者から、すくすくスクールや江戸川区に問い合わせがあれば、「条例が変わっても学童は現状と何も変わりませんよ」と、説明を繰り返しています。

また名称も、利用者を混乱させる一種のトリックです。児童福祉法から外れ、児童福祉の理念も基準も関係ないのに、名称はこれからも変えず「学童」と呼ぶのです。これでは一見、江戸川区にも、他の自治体のように児童福祉法に基づいた「学童保育」「学童クラブ」があるかのように、見えてしまいます。

しかしその実態は、おやつもない、休養スペースもない、留守家庭の児童が安心して長時間を過ごせる場所とは程遠いものです。就労時間を証明する書類を提出すれば、一般のすくすくスクール児童の終了時間である「17時」ではなく、「18時」までその部屋にいられる。

本当に、それだけ、です。

それだけで、江戸川区は、「学童クラブ」と呼ぶわけです。


■10/20の「総務委員会」が正念場!
 何もしなければ10/28本会議で条例可決の見込み

この議案を審議する江戸川区議会は、10月28日に本会議があり、ここで条例の採決が行われます。

そしてそれに先立つ10月20日には、条例審議の場である「総務委員会」が開催されます。実質上、条例としての採決の可否は、この総務委員会が正念場となります。


私たちも、まだ粘ります。
詳細はまた次回の記事に譲りますが、まだ諦めていません。

皆さんも、どうかこのことを広く広めてください。特に江戸川区にお住まいの皆さん、その中でも江戸川区で働きながら子育てをしている皆さん、ひとりひとりが、江戸川区に意見を伝えましょう。どうかできることから、お願いします!

声の上げ方は、下記記事でご覧ください。
どうぞよろしくお願いします!

◆2014年9月11日
【江戸川区民の皆さんへ】江戸川区から「学童保育」がなくなるかもしれない。あなたの声を「区長への手紙」で伝えてください!



2014年9月27日土曜日

【学童保育縮小・廃止で予算削減を目指す!】江戸川区、「すくすくスクール」導入による学童保育予算削減のシナリオ

ついに始まりました。

昨日木曜日、9月25日、平成26年・第三回江戸川区議会定例会に、二つの議案が上程されました。

◆第73号議案
 江戸川区放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例

◆第74号議案
 江戸川区すくすくスクール事業条例

上記2つは、江戸川区議会を経て、10月28日ごろには採決されます。

条例の詳細は、後日に譲るとして、ここでご紹介したい、とある「議事録」があります。

今をさかのぼること約8年前、衆議院の「青少年問題に関する特別委員会」で、江戸川区長が参考人として呼ばれ、江戸川区の子どもに関する施策のひとつとして、すくすくスクールと学童保育について質疑を行った時のものです。


平成18年2月14日 第164回国会における江戸川区区長発言

リンク先である衆議院のサイトで、ぜひ全文をお読みいただくことをお勧めします(全文はかなり長いので、ページ内検索「CTRL+F」などで「すくすくスクール」と入れると、拾い読みができます)。

さてここでは、すくすくスクールに言及した中でも、最もポイントとなる「予算」に言及した部分をご紹介します。

当時は、「全児童対策事業」は、いまほど一般的ではありませんでした。その中で、この会議の2年前、平成16年から全児童対策事業である「すくすくスクール」を導入した江戸川区について、様々な説明がなされたのち、民主党の小宮山議員(当時)が、下記のように質問をしました。

(会議録より抜粋)

◆ 小宮山(洋)委員 ◆
多田参考人に伺いたいんですが、先ほど、どんな支援が必要かすぐには言えないと言われましたけれども、先ほどちょっとおっしゃりかけた、地域の力を引き出すための仕組みをつくったりすることにはお金もかかるんだ、そのあたりをもう少し教えていただきたいというふうに思います。今、何かを支援ができないかということで私たちはいろいろ審議をしているものですから。

これに対し、下記のように回答がなされました。


◆ 多田参考人 ◆

私も、そういうことについて余り深く考えたことがありませんので、これだと言うことはなかなか難しいお話になります。

今、子供の健全育成あるいは犯罪防止のために、子供ではないところに、ある体制づくりをしていこう、こういう動きがあるかと思います。しかし、私ども、肝心なところは、子供に対して、健全育成なんですが、どういう影響力を地域として、あるいは社会として与えていけるのかというところを、もうちょっと重点的に考えていくべきではないかというふうに思っています。

例えば、子供に使うお金は、手当もありますし、保育所もありますし、いろいろございます。しかしながら、それらは、どちらかといえば親に対しての経済支援ということになっているわけであります。私たちは、もっと子供に直接影響のあるところにお金を使えないかということを考えております。

ですから、例えばすくすくスクールをやるとします。今、すくすくスクールは全体で19億円かかっております。27,000人の子供たちが来ておりますが、この中に学童クラブが入っております。

19億円のうちの約15億円は、従来からかけておりました学童クラブ経費でございます、合体いたしましたので。そうしますと、すくすくスクールだけでは、子供の数はうんと多いんですが、大体4億円で済んでいる、こういうことでございます。

学童クラブには正規の指導員がいました。これは公務員です。この部分は、これから非常勤化をしていくという方針をとっております。一日いていただく必要はないということになります。したがって、これをそれに順次切りかえていきます。そうしますと、約5億円で済むことになります

学童クラブとすくすくを合わせまして、恐らく10億円ぐらいでできることになるかなというふうに思っています。

これに対して、例えばすくすくスクールは、文部科学省が安全な居場所づくりということで予算化をいたしました。それで、その予算化されたものを、私ども、そのお金はいただこうということでいただいておりますが、3,000万円でございます。その3,000万円は、直接、児童に対する経費というよりは、つまり、運営委員会をつくってください、その運営委員会に対する助成としてそれを提供します、こういうことでございますので、子供にかかわる直接経費、さまざまな経費が必要になります。ボランティアでも、有償のボランティアをお願いしなければならない場合もございます。それから、いろいろな調度品、小道具、スポーツ用具、さまざまに要ります。こういったことにお金も使わなければなりません。
※注:読みやすさを配慮し、文中の漢数字は数字に修正しています。

そういうことになりますと、これは全部自治体の負担でやれればやっていいんですけれども、全国的に考えれば、それはなかなかの負担だというところも多々出てくるのではないかと思いますので、そういう子供に対する直接経費というもの、こういったものをもう少しお考えいただけたらいいのかな、そういうふうに思っております。

議事録の抜粋は以上です。全文は、こちらでお読みいただけます。

実は平成26年の現在、江戸川区の「すくすくスクール(学童保育含む)」の予算はおよそ8.8億円です。

ちなみに実は、この8.8億円のほかに、「正規職員の給与 6~7億円」というのがあります。
現在、江戸川区が言うところの「すくすくスクール予算」とは、あくまで「と非常勤職員・臨時職員だけの給与を含む予算」なのです。

というわけで、「正規職員給与」と、「非常勤職員・臨時職員だけの給与を含むすくすくスクール予算」を合計すると、15~16億円になります。

ここで、もう一度衆議院での発言を振り返ってみましょう。
平成18年当時、江戸川区長は「学童クラブとすくすくを合わせまして、恐らく10億円ぐらいでできることになるかなと」と、予想されております。

つまり今後は、この「15~16億円」を、「10億円」にしてきたいと、江戸川区にはプランがあるのでは?…と予想されます。

減らすためには、何を削るのか。…「人件費」です。

人員の質は、保育の質です。
もっぱら人材に質を左右されると言われる「保育」事業で、質を下げても構わないと判断し人員をさらに削っていけば、経費をどんどん減らすことができます。

今後江戸川区は、すくすくスクールと、すくすくスクール学童の人件費を、これからまだまだ削減していくでしょう。その予想を裏付ける、事実があります。

正規職員については、この10年間で採用がゼロである。

◆昨年度からは、非常勤指導員も新規雇用なし。退職者分は、マイナスのままである

今後も、この「正規職員は新規採用せず」また「退職者不補充」の方針からして、今後、学童指導員が増えていくことはありえないと予想されます。

実は事実、常勤職員と非常勤職員をあわせ、今年度は「10%以上の指導員削減」を、江戸川区は実現しています。

以上を図にすると、下記のようになります。


クリックで拡大します。
※上記の図は、 こちら からPDFでダウンロードもできます(再配布自由。改変厳禁)


現状の「すくすくスクール学童登録」は、月額4000円の保護者負担で実施されています(午後5時過ぎの”補食”が提供されていた時は別途月額1700円)が、これは今や、ほとんど「出欠確認」と「ランドセル置き場代」のみであると、多くの保護者が感じています。

“学童”と言いながら、他自治体の「学童保育」とは、似ても似つかぬ実態です。

そう。正規職員も、非常勤職員すらも、減らしていけば、こうなるのは当然です。

さて、今を去ること8年前、江戸川区長に質問をした当時の小宮山議員は、さらに下記のようにひと言、申し添えておられます。


小宮山(洋)委員
ありがとうございます。最後に一言だけ。

今の学童のことはこの委員会でやってきたんですけれども、一緒になることによって、学童の子供たちはずっとやはりそこで暮らしを見なきゃいけない、そこが非常勤化されたりすることによって質がどうなるかということを保護者の方がまた非常に心配されていますので、そうしたことも全体考えながら、子供に対してどういうことをしていけるのかを、またこの委員会でも考えていければと思っております」

そこは「留守家庭の子ども達の、暮らしを見る場所」であると、言っています。

「一緒になることによって」、その「質」の低下を懸念した、平成18年当時の小宮山議員。

今のすくすくスクール学童の姿を、すでに10年以上前から、江戸川区長はプランしていました。

これが、自称「子育てに優しい区」、江戸川区です。

小宮山議員の懸念が見事に現実のものになったことは、いますくすくスクール学童に子どもを預けて働いている私たちが、日々、痛感していることです。

次回に続きます。

2014年9月11日木曜日

【江戸川区民の皆さんへ】江戸川区から「学童保育」がなくなるかもしれない。あなたの声を「区長への手紙」で伝えてください!


※上記チラシは こちら からダウンロードできます。

長くなりますが、どうか、お付き合いください。

私たち「えどがわ学童保育フォーラム」は、すくすくスクールの中で薄められていく「学童“保育”機能」に危機感を感じ、活動を続けてきましたが、ここ数ヶ月で、その危機感は非常に高いものになっています。

そう、近いうちに、江戸川区から学童保育(学童クラブ)が、ほんとうになくなるかもしれません。


■ 平成27年度開始に向け国が進める ■
■ 「子ども・子育て支援制度」 ■
国を挙げての、学童保育の拡充を目指している今

いま日本は、学童保育の充実を国家施策として進めています。それは、平成27年度開始を目指して進んでいる「子ども子育てに関する新制度」の一環です

この施策の下、政府は、「放課後児童健全育成事業(いわゆる「学童クラブ」)」にについては、「児童福祉法上の観点から家庭的な生活の場を与える必要がある」として、各自治体にこの遵守を求めています。

内閣府が発行している「子ども・子育て支援制度なるほどBOOK」の13~14ページには、次の記載があります。


P13~14 放課後児童クラブについてのQ&A
【抜粋】
Q:「放課後児童クラブ」の改善が図られると聞きましたが、どうなるのですか?

A:「放課後児童クラブは、新制度では、職員の資格・員数、施設・設備、児童の集団の規模などについて新たに基準を定めることとされています。放課後児童クラブの財源にも消費税財源を活用し、量の拡充と質の向上を図っていきます。また小学校6年生までが対象となります。

このように、国の取り組みとしては、子ども子育て支援制度の開始により、学童クラブは拡充が図られるものだ、としていることがわかります。



■ 江戸川区の取り組み、「子ども子育て応援会議」 ■
 しかし利用者の声はそこには届かない

これを受けて江戸川区も、自治体として「学童クラブ」に新たな基準を定めることが求められることとなり、現在、着々と取り組みを進めています。江戸川区のホームページにおいて、「子ども・子育て支援制度」として、その取り組みが掲載されています。これは、江戸川区で子育てをしている私たちには、大きな関わりをもつ出来事です。




今後、江戸川区では、幼稚園、保育園、認定子ども園に関しての制度だけでなく、学童クラブ(放課後児童クラブ)についての制度も変わろうとしているのです。

しかしそれは、政府が遵守を求めているように、江戸川区の学童保育は「改善」の方向に変わるのでしょうか? 江戸川区で働きながら子育てをしている区民としては、当然、改善を期待したいところです。

ですから私たちは、江戸川区が開催している「子ども・子育て応援会議」の成り行きを、非常に関心を持って見守って来ました。しかしこの会議には、「選ばれた区民の代表」の方だけが参加しています。私たち一般区民はこの会議に参加することができず、要望も、質問も届ける手段はありません。

しかも会議は平日の開催ですので、どうしても内容が知りたい時は、メンバーの誰かが仕事を休んで、傍聴に行くなどして対応していました。

こうして、子ども子育て応援会議の傍聴や、各方面からの情報の収集などを続けているうちに、次のことが見えてきました。


■ 国の新制度が始まっても ■
■ 江戸川区の「学童保育」は改善されない ■

 「すくすくスクール学童」は、国の言う「学童クラブ」ではない、
だから法を遵守する必要はない、という解釈をと示唆する公的発言

現在、江戸川区のすくすくスクールの中には「学童クラブ登録」という形で放課後児童クラブ(学童クラブ)が存在します。しかしご存知のように、この10年間、内容は充実するどころか年々薄められてきました。

そして私たちは今、かなりの確信を持って考えています。
平成27年度から国の新制度が始まっても、
今のすくすくスクールは、
これまでとなんら変わりなく運営されるであろう。

学童保育の内容は、変わらないか、
今よりさらに低下するか、
あるいは「学童保育そのものが消滅する」か。
と。

他の自治体では、国の方針を受けて、あるいは自発的に学童クラブの拡充が図られる中、江戸川区の学童クラブは「すくすくスクールの中で子ども達が自主的に過ごす」という、たんなる「遊び場事業」に、今以上に変貌しようとしているのです。

これを裏付けるひとつの、公的な発言があります。

江戸川区すくすくスクール担当課「教育推進課」の課長は、平成26年6月12日・江戸川区議会・文教委員会において、「すくすくスクールにつきましては”家庭的な場”というような考え方を持っておりません」と発言しています。

下記が、発言の全文です。
江戸川区議会HP「会議録検索」で「すくすくスクール」で検索してください。

◎教育推進課長 

「まず一点目の先ほどのご質問で生活の場のことについて、どういうふうに解釈をしているかというご質問に対しては、家庭的な中でという児童福祉法上の解釈ということでの我々もそういうふうに放課後児童健全育成事業については考えて解釈していますよというお答えをしましたけども、すくすくスクールにつきましては家庭的な場というような考え方を持っておりませんので、放課後過ごす子どもたちが健全育成のために遊びながら、それから地域の方々にそうしたふれあいの中で時間を過ごしていく、そういった場として考えておりますので、委員さんがおっしゃったすくすくはそういう場であるというふうには考えてございません。これを確認をさせていただければと思います。(平成26年6月12日文教委員会議事録より)

何度も言いますが、国は、放課後児童健全育成事業(学童クラブ)に児童福祉法上の観点から家庭的な生活の場を与える必要があるとしています。

一方、柴田課長の発言は、「すくすくスクール学童は、国の言う”放課後児童健全育成事業”に該当しない」という江戸川区の解釈を示唆するものであり、該当しない以上は、「すくすくスクール学童」に、「家庭的な保育は必要ない、単なる遊び場である」と解釈を法的に固めようとする布石と取れます。



■ 「区長への手紙」を出しましょう ■
 いま利用者が声を上げないと、
 「住民は現状のすくすくスクールに満足している」とされてしまいます

このままでは、今後、仮にすくすくスクールに「学童登録」という名称が残ったとしても、それは出欠確認とランドセル置き場があり、他の子ども達より少しだけ長くその遊び場にいられるという単なる登録区分の名称にすぎなくなります。

そこに、働く親の子が長時間、安心して親の帰りを待つことができる、「家庭に代わる場所=保育」の姿勢はありません。

「働く母、小一の壁」が、さらに高くなろうとしてる江戸川区。今すぐ利用(予定)者ひとりひとりが声をあげないと、「住民は現状のすくすくスクール(学童)に満足している」「住民に学童保育のニーズはない」とされ、現状が改善されぬまま新制度が始まってしまいます。

補食(おやつ)の廃止にみられるように、行政が一度決めたことは、そう簡単に変えられません。どうか、あなたも声を上げてください。「区長への手紙」を出し、担当課に電話で要望しましょう。

担当課は、教育推進課「すくすくスクール係」です。
03-5662-2732


江戸川区 区長への手紙
「区長への手紙」は、こちらから。


もし差し支えなければ、あなたが送った「声」を、えどがわ学童保育フォーラムにお送りください。その際、学校名や個人名は絶対に特定できないよう、配慮いたします。
メールにて、お寄せください。

えどがわ学童保育フォーラム edogawa.gakudo.hoiku.folum@gmail.com

なお「区長への手紙」は、回答を求めることもできます。回答が届いたら、こちらもお送りいただければご紹介します。

私たちも声を上げ続けます。ぜひ、よろしくお願いいたします。



■ このことを訴えるチラシを、広めてください ■
特に江戸川区内、該当者への紹介、配布をお願いします!!

本件まとめた印刷用のチラシを作成しております。
内容を改変しない限り、ご自由に印刷、配布、転送いただけます。

広く、特に江戸川区の皆さんに、ぜひ広めていただければと思います。
もちろん、当ブログのURLをメール等で、お知り合いに送っていただいても構いません。

カラー版は こちら からダウンロード


モノクロ版は こちら からダウンロード


最後に…

■ 10年前の「公約」は、どこへ行った? ■
首長は同じ。では何故?

最後に、江戸川区で「すくすくスクール」が開始、それまでの「学童クラブ」がすくすくスクールに吸収されていこうとする2004年の「広報えどがわ」をご紹介します。

2004年まで、江戸川区内には家庭的保育を行う学童クラブが数多く存在していました。

当時も、一体化により学童保育の機能低下を心配する多くの保護者らによって、すくすくスクールへの統合の反対運動が区内で盛り上がりました。

しかしその当時、江戸川区は「すくすくスクールになっても、学童保育はなくなりません!変わりません!さらに充実します!」と明言し、反対する保護者らを説得し、すくすくスクール導入を強行しました(当フォーラムにも、その当時、反対の声を上げていた学童保護者OB・OGが参加しています)。

しかし学童の「おやつ廃止(平成25年度)」に見られるように、すくすくスクール学童は、この10年余りで世の中の学童保育とはまったく別物へと変化を遂げたのです。

下記は、2004年9月の「広報えどがわ」です。
上記「広報えどがわ」は、こちら からダウンロードできます。
(えどがわ学童保育フォーラムのHP内「資料室」にリンクします)

(上記より抜粋)
すくすくスクール スタート!学童クラブ機能も充実!

一層充実します! 「すくすくスクール」内の学童クラブ
保護者が就労などで昼間留守にするお子さんのために、
「すくすくスクール」に学童クラブの機能をもたせます。

○学童クラブはなくなりません! さらに充実していきます。
○様々な学校施設を活動場所に、遊びと生活の場が広がります。
○専門の指導員が責任を持って、子どもたちを安心・安全にお預かりします。
○1~6年生まで、入室希望のお子さんすべてが入室できます。
○「すくすくスクール」内で、学童クラブ以外の多くの子どもたちと触れ合う機会が生まれます。
担当:児童女性課

このときから10年を経て、2014年現在のすくすくスクール学童の現状です。

●学童登録児へのおやつ(補食)提供の時間が、16時、16時半、17時過ぎ…と年々遅い時間になってゆき、平成25年4月から、完全廃止となった。

この10年間、正規職員の指導員新規採用はゼロ。時給労働のパートタイムの臨時職員か、無償の地域のボランティアによる対応に切り替えている。その数も、減少傾向にある。

すくすくスクールの長にあたる「クラブマネージャー」の報酬は、平成25年度から廃止され、完全に無償の活動になった。

指導員と親をつなぐ「連絡帳」は、ここ数年で機能低下、廃止の方向にある。

体育館、図書室、校庭などの学校施設は、実際は自由に使えず、多くのすくすくスクールでは教室1~2個分のスペースに、多いときには100~200名の子どもを収容している。

具合が悪い子でも、保健室が使えずすくすくスクールホームルームの床に寝かされるなどの事例もあり。

学童クラブ独自の各種行事(入室式、卒室式、お誕生会、夏休みなどの遠足)は廃止された。

学童クラブ行事がなくなったことにより、親同士が顔を合わせる機会も減少。学童の保護者会組織も自然消滅していった。

江戸川区内での担当部署は、福祉系の「児童女性課」から、教育系の「教育推進課」に変更された。

このように、大きく変化を遂げました。もちろん、日々、子どもたちと向き合い続けている、心ある職員の方々の必死の努力によって、かろうじて「質」を維持しているすくすくスクール学童もあります。

が、江戸川区全体としては、質の低下が著しいことは顕著です。すくすくスクール職員個人の努力、あるいは無償の「ボランティア」や「地域の人々」の善意にのみ依存せず、自治体として公的に、学童保育の拡充を図る…それが正常な姿であり、国の施策にも合致するものではないかと私たちは考えています。

「学童クラブ機能も充実!」と謳った2004年当時と、2014年の今、江戸川区の首長に変更はありません(なお来年度、区長選挙があります)。同一人物を首長としながら、当初の公約とここまで異なる現実となったのは、何が理由なのでしょうか? 区には、どういう意図があるのでしょうか?

江戸川区に住み、働き、税を納めている私たちは、この点をよく考え、行動する必要があるかと思います。

一人でも多くの方ご協力を、どうぞよろしくお願いします。
長文へのお付き合い、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。